ワークショップ

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)

ワークショップとは何か。からこの本は始まる。
筆者はワークショップの専門家ではなく、広告会社の方。

私は大学一年次のある実習でワークショップに触れたが、講義の形式で「ワークショップとは何か」というものを受けた記憶はない。小中高までの教育でもワークショップについて学んだことはない。そこで堂々と「ワークショップ」というタイトルのついたこの本を読んでみた。

どんな分野のワークショップであっても共通してある部分に関しては一通りまとまっているので、ワークショップというものについて「ざっと」知る、認識することはできると思う。しかし著者の経験したワークショップをもとに書かれているということもあり、自然や社会環境に対するワークショップに重点が置かれている。そのため書かれている実態、事例に圧倒的な差があり、演劇や美術など、芸術系のワークショップについてはあまり書かれてはいない。

途中、ワークショップについて過大評価すぎるんじゃないかとも思うところもあったが、それだけの評価を持たせる力があるのかもしれない。ということだろう。実際に行われている導入の部分でのicebreakingや、ちょっとしたゲームなどが書かれていたことには好感を持った。

私は演劇ワークショップに進行アシスタントとして参加することがあるのでよかったが、ワークショップに参加したことのない人が読むといまひとつ理解に苦しむところがあるかもしれない。

演劇づくりはワークショップ的であり、演劇では技術等を身につけるためのワークショップもあるが、「演劇」で検索して広告として出てくるワークショップはほとんど、ワークショップではなくレッスンだ。レッスンって書いてあるし。
既にワークショップという言葉は氾濫しているので、耳にする機会は多い。ただ、「ワークショップという名のもとに行われているもの」に参加していても、実はワークショップではないということはよくあることなのかもしれない。